青春の街、吉祥寺(最終章)
彼と出会わなければ、生涯、「ボブ・ディラン」を聴かずに、今に至っていただろう。 35年前、はじめてのアルバイト先の先輩。 「世の中にこんなに無口な人がいたんですか!」 と、そのくらい静かな人だった。そんな彼が、どちらかというと中道やんちゃな僕を、すごくかわいがってくれた。 その先輩は、「ボブ・ディラン」を「神」と崇め、そうすると当然「吉田拓郎」を「仏」と祀る、フォークソング狂いの兄ちゃんだった。 半世紀前、中村雅俊さん主演のドラマ「俺たちの旅」をご存知の方は少ないだろう。 ドラマの最初のクレジットタイトルに、井の頭公園が映るんですが、その場所で、先輩と先輩の彼女がフォークギター、僕がサクソフォンで、よく練習してはデモテープをレコード会社に送ったものだ。 僕は世田谷の千歳船橋に住んでいたのだが、先輩と出会ってからは、ほぼ毎日、吉祥寺の先輩の部屋に同居することになったんだ。 まさに、「俺たちの旅」状態だった。 吉祥寺、隅から隅まで歩いたなぁ。 だから、僕にとっての吉祥寺は「第二の故郷」なんです。 その大切な「第二の故郷」で、小ざさの前で、今、妻がほほ笑んでいる。 なんだか思い出の中を、土足で入り込まれたような気がして、 もとい、 なんだか思い出の中を、一緒に歩いているような、気がして・・・ならない。 まあ、いいか・・・ 若者たちへ 思い出を作ろう! 人生の宝物は、思い出だ。 僕のように、あつかましく人に語ることはない。 そっと、心の中にしまっておくだけで、 たかが、生きることが 豊かになる。 きっと・・・









