子猫物語(2)
「シュテファン大聖堂」 「ステ」の名前は、この大聖堂からいただいた。 「シュテ」は言いにくい! 「ステ」でいい!そう呼ぶことに決めた。 でも、誰かに名前を聞かれると「シュテファン」 だよと、見栄を張った。 退院してひと月後のステ、元気いっぱいだ。 「まねき猫」なんて、信じてるわけじゃないが、この写真を撮ったすぐ後に、長男を身ごもった。 僕ではない、妻がだ。 同じ月、最初の仕事の依頼が来た。最初の依頼人は、ステと出会った公園の裏に住んでいた方だった。 そして、その年、中国から 「第二次世界大戦終結50周年記念北京公演」の単独招聘を受けた。 やっぱり、「まねき猫」だったな。 長男が生まれ、 次男が生まれ、すでに3兄弟だ。 自分を人間だと思っていた。 妻が杉並に指導に行くときは、この位置が指定席だった。 後ろの車のかたが、よく手を振ってくれたな。 杉並のスタジオでも人気者だった。 幸せだったかな・・・ それなのに、別れの日は突然やってきた・・・ 平成17年8月24日、玄関のドアのほんのわずかな隙間から、彼は外に出てしまった。 もうすぐ16歳だったな。 捜索のチラシを作って、いろんなところに貼ってもらったな。 コンビニの方や、いろんなお店の方が、一緒に探してくれたな。 その後、次男が習うこととなったピアノの先生との出会いも、「ステ」の捜索からだったな。 あれから20年が過ぎた。 つづく








