「あなたの誕生日、お願いだから1日空けてくれないかな?」

「ごめん、年度末で忙しいんだ。新規の仕事も3件重なって誕生日どころじゃないんだよ!」

を、はじめ、いろんなやりとりがあったが、結局押し切られ、泣き真似までされて貴重な3月の平日を、まる1日空けることになった。

妻は、僕と二人でどこかに行きたいらしい。まあ、この歳になって、そう思ってくれるだけでも感謝するべきなのかな。

ただ、正直に言わせていただくと、身体が元通りになってからにしてほしかったな。

そこで提案した。

「何か美味しいものを食べに行こう!」と。美味しいものなら、事欠かない。

「どこに?」

ほーら、乗ってきた。

「美味しいとこだよ!」

「ちょっと遠出したいな、私が運転するから!」

妻のすごいところである。夫の体調など意に介さない。ある意味尊敬する。

この言い方だと、都内では満足しそうもないな。なら、軽井沢にでも足を伸ばすか・・・

軽井沢なら、食事だけでも満足してくれるだろう。

「万平ホテル行こうか?」

「えっ、ほんと?」

「ああ、ただ、昼飯食べに行くだけだぞ、昼飯食べたら帰ってくるぞ。それでよければ仕事休んでやる!」

「ヤッター!」


というわけで、軽井沢に向かった。

このホテルは、母が好きだったこともあって、僕もたまに使わせてもらっている。

食事だけに来ることもよくあった。

妻とも何度も来ている。もとい、妻と何度も来ている。家族でもよく来た。

この雰囲気が好きだ。ジブリの映画「風立ちぬ」のモデルにもなったくらい、素敵なレストランだ。

ちょっとしたエピソードもあった。

それほどのお得意様でもないだろうに、

「いつもありがとうございます。」なんて、言わなくてもいいことを従業員が言うものだから、

妻が、

「従業員の方、あなたのこと、よく知っているのね・・・」なんて、痛くもない腹を探られた。

社交辞令もほどほどにしたほうが良い時もある。


料理が美味い!

僕は牛肉がちょっと苦手なので、コースの中の「牛ロースのグリル」を

「ごめんね、基本はこのコースでいいんだけど、僕、牛が苦手だから、豚にしてくれないかなあ?」

「かっ、かっ、かしこまりました。今、厨房と話してみます!」

「ありがとう!」

しばらくして支配人らしき人が

「申し訳ございません、本日、ポークの用意がございませんで、チキンのグリルに赤ワインソースではいかがでしょうか・・・」と。

「ありがとう、それでお願いします。アルコール、しっかり飛ばしてね」

「かしこまりました!」

と、言うわけて出てきたのがこれ!

こんなに美味しいチキンのロースト、生まれてはじめてだ。

よくよく考えれば、牛さんを鶏さんに変えて、料金は同じでいいよ!って、言われているわけだから、シェフも命がけでチキンを美味しくローストしたことだろう。

申し訳なかったな。

レストランをでるとき、

「わがまま言っちゃってごめんなさいね、美味しかったてす。」

と、丁重にお礼を言ったら、支配人が、

「また、お待ちしております。」と、素敵な笑顔で見送って下さった。

また、「妻」と来よう!


いざ、つくばへ

「私が運転するから!」

と言っていた妻は、軽井沢を出た直後から、常磐道に入るところまで、ものすごいいびきをかいていた。

予想を裏切らない、競馬で言えば「本命二重丸」だな。

まあ、妻がわがままを言ってくれたおかげで、久しぶりに美味しいものを頂けたのも事実でした。


今回も、「幸せの押し売り」になってしまいました。

お許しください。




 




コメント

人気の投稿