家具屋

 ニュースを見るたびに、政府に対する、政治家に対する憤りが増していく。

政治家よ、今やるべき事を命懸けでやる、それが政治家の使命だろう!

被災された熊本の方々の憤り、喪失感は想像を絶する。

4日経っても断水、なんとかなるはずだ。なんとかできるはずだ。

ここは日本だ。

事務所に行くまでに、3ヶ所のセブンイレブンがある。ほんとにほんとにわずかだが、車にあった何枚かの千円札を、3店鋪に分けて支援金の箱に入れた。

お客さんが「私も、俺も、少しだけ」と、共感してくれますように・・・


お見舞い、申し上げます。


さて、発表会照明下見、1週間前のことだ。

自宅食堂のテーブルの上に、ガラスの寸胴にバラの造花がおもむろに入っていた。

妻に恐る恐る聞いてみた。

「まさか、これ、本番用じゃないよな!」

「どうして?」

「これって、群舞の幕開けじゃないのか?」

「そうだよ」

「割幕が開いて、最初に見えるんだぞ!」

「おかしい?」

「美しくないだろう!テーブルはどうするんだ?」

「あっ、そうだね。どうしようか?」

「予算は?」

「ないよー!」


翌日、昔馴染みの家具屋に行った。

その家具屋の跡取りは子どもの頃からの知り合いだ。

我が家の家具は、すべてそこの家具屋で買ったものだ。

息子たちの学習机から大学時代のベッドや食器棚、我が家の家財道具、設計事務所の家具もすべてそこの家具屋のものだ。

だから、無理が利く。

よその家具店のことは知らないが、この家具屋の家具の値段は、僕が決める。

だからなのか、僕が店に入って行っても、その跡取りは、あまり嬉しそうな顔をしない。

「久しぶりだな!」

「そうっすね」

「小さくて上品なテーブルを探しに来た!」

「ないっすねー」

「あるだろう!家具屋なんだから。あれ?このテーブル、いいなあ!」

「いいでしょう、オランダ製ですから。」

値札に42,000円と書いてある。

「これ、いいなあ、あれ?値札、間違ってねーか?」

「間違ってないっすよ」

しらーっと答える。

「舞台で使いたいんだ」

「そうっすか。」

「お前、愛想がないなー!そんなんじゃ、店、つぶれるぞ!」

「うちは、客層がいいから大丈夫っす。じょーさんぐらいですから、値切るのは」

「人聞きの悪い言い方するな!俺は江戸っ子だぞ!」

「3万でいいっすよ!」

「あっ、ごめんな、嫁さん、2万しかくれなかったんだよ」

「そうすか。じゃあ、買えないっすねー」

「いや、買っていかないと怒られるんだよ」

「だって、お金、足りないじゃないっすか」

「お前、酒、何飲むんだっけ?」

「俺、酒、やめたんすよ」

「えっ、ほんとかよ。いつから?」

「今日からっす」

結局、20,000円ちょうどで、商談が成立した。

なかなかいい奴だ。

花瓶はリサイクルショップで見つけた。

これでいい!なかなかの幕開けになる。


本番当日、群舞の幕開け!

灯りも相まって、素晴らしい幕開けとなった。

家具屋にも感謝だな。


それから5日後の昨日、事務所に行ったら、応接間のソファーが新しくなっていた。

事務所の若者に

「どうしたんだ、この応接セットは?」

と聞いた。

「あっ、さっき、家具屋さんが古いのと取り替えていきました」

どういうことなのか、家具屋に電話をした。

「気にしないでください。前に事務所に寄った時、ソファー、寿命だなって思ったんすよ」

「請求書、上げてこい!」

「いいんす。このまえのお酒のお礼っす」


身体をこわしてから、いろんな人から情(なさけ)をかけられている。


もらった情けは、そのままにはできない。

元気になって、しっかり返さないとだな。


昨日からステロイドも10mgまで減った。


あとひと息だ。





 




 

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